立山〜薬師岳(西銀座ゴールデンコース)

龍王岳 リュウオウダケ 標 高 2872m 日本百高山

山 域

北アルプス
五色ヶ原 ゴシキガハラ 標 高 約2500m 花の百名山

山 域

北アルプス
越中沢岳 エッチュウサワダケ 標 高 2591m 日本の山1000

山 域

北アルプス
薬師岳 ヤクシダケ 標 高 2926m 日本百名山

山 域

北アルプス
登 山 記 録
登山月日 2007年8月11日〜8月14日
登山経路 8月11日
富山地鉄・立山駅6:10〜バス〜室堂7:10/8:00〜一の越9:00/9:15〜浄土山・龍王岳9:45/10:25〜獅子岳12:10/12:35〜ザラ峠13;35/13:40〜五色ヶ原テント場14:25
8月12日
五色ヶ原7:10〜五色ヶ原山荘7:30/7:35〜鳶山8:10/8:25〜越中沢岳10:25/10:55〜スゴの頭の前山12:00/12:35〜スゴの頭13:35/13:40〜スゴ乗越14:35〜スゴのテント場15:30
8月13日
スゴのテンバ6:50〜間山8:05/8:15〜薬師岳頂稜9:30/9:45〜北薬師岳10:25/10:40〜薬師岳11:55/13:05〜薬師岳山荘14:00〜薬師峠テント場15:20
8月14日
薬師峠テント場6:10〜太郎平小屋6:30/6:40〜三角点8:20/8:30〜折立9:55/10:30〜バス〜有峰口11:35/12:12〜電車〜立山駅12:25
行動時間 第1日目 室堂〜五色ヶ原 6時間25分 
第2日目 五色ヶ原〜スゴのテント場 8時間20分
第3日目 スゴ〜薬師峠テント場 8時間30分
第4日目 薬師峠〜折立 3時間45分
合計 27時間 (休憩時間を含む)
天  候 第1日目〜第4日目まで快晴が続く
メンバー 「親子二人連れ登山隊」

情  報

アクセス 富山地方鉄道立山駅 折立登山基地からの有料道路は問題なし
トレイル 人気の西銀座ゴールデンコースではあるが、龍王岳・越中沢岳・スゴの頭等の下りはザレた急坂や岩場の鎖場もあり緊張する。
水場・トイレ 水場・トイレ共に各山荘・テント場以外にはない。
その他 下りが苦手のムスコとの山行でタイムは参考にならない

山行記

第1日目(室堂〜龍王岳〜五色ヶ原)


龍王岳山頂から五色ヶ原薬師方面を眺める・振り返ると雄山がスクッと聳えている


獅子岳で昼食休憩を取り15時前には五色ヶ原のテント場に着きビールを飲みながら寛ぐ

富山地鉄・立山駅から室堂入りは昨年に続いて2度目である。立山室堂には3年連続、もうこれで5回を数えるまでになった。室堂ターミナルの広場で立山を眺めながら朝食を取る。今日は五色ヶ原までの短い道であるから気が楽である。8時には幕営道具を担いで一ノ越への登山道に入る。幕営道具もムスコと二人で分担すればそれほど苦になるほどの重量でもない。
途中、浄土山から五色ヶ原へ直行する道は、以前岩登りで結構難儀したこともあり、遠回りになっても一ノ越経由にする。一ノ越で少し休憩の後、浄土山に向かうが、一ノ越からこちらに向かう登山者は極端に少なくなる。
富山大学立山研究所までの登りつくと五色ヶ原方面の展望が開け、遠くに薬師岳も望まれる。眼前の龍王岳は日本百高山であって、一昨年登っているがムスコと二人で再登頂する。龍王岳からの下りは岩場の悪路で息子が遅れ始める。今回は1年ぶりの「親子二人連れ登山隊」である。なるべくムスコのペースにあわせて歩くことを心がけている。
龍王岳を下り、獅子岳で昼食休憩を取る。そして又急坂の獅子岳をザラ峠に下る。浄土山では直ぐそこに見えた五色ヶ原には2回もの大きなアップダウンがあった。ザラ峠から五色ヶ原に登り返し、廃屋となった五色ヶ原ヒュッテの脇から木道を伝って、ハクサンコザクラやハクサンイチゲが満開の五色ヶ原キャンプ場には15時前に到着した。キャンプ場を管理する五色ヶ原山荘まではお花畑に延びる木道を歩きビールを買い求めた。キャンプ場に戻り、周りの景色を楽しみながら、ゆっくりと寛ぐことが出来た。
昨年は雲の平で豪雨にやられ苦い思いをした親子登山隊も今年はその分も取り返した思いである。


第2日目(五色ヶ原〜越中沢岳〜スゴのテント場)


五色ヶ原テント場から小屋までは木道が続く・ハクサンイチゲがの花咲く高層湿原の五色ヶ原を行く


鳶山から越中沢岳方面・越中沢岳から立山方面を振り返る


越中沢岳からスゴ乗越を越えて薬師岳への登路を見る


越中沢岳は立山・薬師岳縦走路の中間だ

今日の行程もガイドブックを開くと6時間程度のスゴのテント場までである。ゆっくり出ても問題はないので気が楽だ。しかしその先、薬師峠を目指す登山者もいるのか夜明け前の3時頃からざわつき始める。私たちは5時に起きて朝食をとり、テント撤収、パッキングを済ませると7時の出発となった。
木道を歩き、五色ヶ原山荘で小休止の後、縦走路に入る。高層湿原の五色ヶ原を上から望むようになると点在する地塘が素晴らしい景観を作り出していた。縦走路の最初のピークは鳶山である。先発していた2組の夫婦パーティが休んでいた。そしてこの先このパーティとは今日一日前後しながら歩くことになるのである。
五色ヶ原から登りの鳶山は稜線の突起であるが、下りは高低差もあり結構な急坂であった。早速ムスコが遅れ始める。朝のうちであるからムスコに合わせゆっくりと越中沢乗越に下る。2番目のピーク越中沢岳への登りも緩やかに登る。立山・薬師岳の中間に位置する越中沢岳からの展望は見事なものである。縦走路の先には薬師岳への登路も良く見えて、今日の予定地スゴの小屋の赤い屋根も見える。前後して来た2組の夫婦登山隊と談笑しながら休憩を取る。反対側からは、朝早く薬師岳山荘を出た若者が、早くもここに登りついた。登山道の情報を聞くと、これからの下りが今日の核心部のようで気合を入れる。
越中沢岳からの下りは、下りの苦手なムスコには正に厳しい道であって、だましだまし、そして叱咤激励しながら下る。梯子場を下り、ホッと一息つく間もなく、私には何の問題もない岩場であるが、ムスコには絶体絶命の鎖場に掛かる。後ろには後続の登山者も続いていて,もたもたするわけには行かない。私が先に下り、ザックを下ろして再び登り返し、ムスコのザックを担ぐ。そして鎖を頼りに慎重に岩場を下る。ムスコも必死である。ようやく岩場を脱してスゴの頭との中間にある小ピークに着く。越中沢岳からスゴの頭までは1時間30分の行程であるがここまで1時間以上掛かってしまい、一息入れる。
正午になったので、腹ごしらえが一番とここで昼食休憩を取る。後続の単独行者2組もここで一緒に休憩した。ここからの下りも厳しいものがあったがゆっくりと鞍部に下り、スゴの頭には13時30分過ぎ登り返した。スゴの頭には懇意になった夫婦登山隊と単独行者が休んでいたが、周辺にはガスが掛かり始め視界はきかなくなった。スゴの頭からはまた巨石の中の悪路を1時間ほどかけてスゴ乗越に下った。ようやく悪路を克服してムスコも肩で息をしている。しばし休憩の後、緩い登りの稜線を歩いて15時過ぎスゴ小屋の前にあるテント場に到着した。
五色ヶ原から5〜6時間コースを、休憩を含めても8時間以上かかってしまい、精神的疲労も大きかった。その上テント場は満杯で石ころの点在する道路にテントをはる派目になった。テントを張り終え、ビールを飲みながら、前後して歩いてきた登山者と談笑し、西日を浴びる越中沢岳を眺めているとさっきまでも苦労が吹き飛ぶ思いであった。ムスコは何もなかったように鼾をかいて熟睡するのであった。


第3日目(スゴのテント場〜薬師岳〜薬師峠テント場)


スゴのテンバから夕日を浴びる越中沢岳・スゴ小屋を後に薬師岳へ


間山から立山越中沢岳・薬師岳山頂稜線はもう直ぐだ


ライチョウの出迎えを受けて北薬師岳に登りつく


北薬師岳付近から見る金作谷カールと薬師岳


薬師岳山頂から見る対岸の赤牛岳・裏銀座の山々


8年ぶりに百名山薬師岳山頂に立ちました


薬師岳から北薬師岳を振り返る・もう来ることはない薬師岳を振り返りながら

石ころの上のテントでも銀マットのお陰で背中に痛みも感じることなく休むことが出来て、昨日の疲れを取ることが出来た。今日も6時間コースで少しも慌てることはない。
テントの撤収・パッキングも全部私一人の作業である。ムスコは近くの岩に腰下ろし、心配そうに見守るだけである。周囲の登山者はそんな状況を怪訝に見ながら、徐々に状況が分かるのである。しかしそれで良いのだ。ハンディのあるムスコに無理強いすることはかえって良くないのである。今日も結局一番遅い出発となった。
北薬師岳までは、緩い平均勾配の登りが続いていることを、昨日越中沢岳で見ているので安心だ。スゴ小屋から少し登ると樹林が開けた草原になっていた。草原を過ぎると登りが始まり、10分も進まないうちに昨日一緒に歩いた夫婦登山隊が腰を下ろしていた。ゆっくりゆっくりと西銀座ゴールデンコースを楽しむつもりらしい。「お兄ちゃんゆっくり行ってやー」と道を譲られて先に行く。結局この夫婦登山隊とはこれが最後であった。
キャンプ場の名残がある間山に着くと対岸の越中沢岳と肩を並べる。ここでは神戸からの高齢登山者が休憩していた。昨日の午後から一緒に歩いた登山者である。やはりテントを担ぎ、大きなカメラを持って山岳写真を楽しんでいるようだ。この方とは薬師岳越えて、薬師峠のキャンプ場まで前後して歩いた。
間山からはハイマツ帯に切られた登山道となり、先を行く登山者が良く見えてよい目標となる。そして巨石の中を山頂稜線に飛び出す。一昨日から強い日差しを浴びて、首や腕が日焼けでひりひり痛む。今日もまたさえぎる物のない中である。
山頂稜線は巨石を縫って北薬師岳まで続いていた。遠くに見える山頂も歩いてみるとそれほどの時間が掛からない。北薬師岳山頂にはスゴ小屋から3時間半で着いた。平均的な時間である。少し休憩した後、薬師岳に向かう。金作谷カールを従えて見事な薬師岳が全容を見せると感動的である。悪路の連続する薬師岳頂稜を慎重に進み、祠の立つ薬師岳山頂には正午前の到着となった。
8年ぶりの山頂で感動が湧いてくる。8年前はガスの中であったが今日は絶好の天気である。眼前には赤牛岳から水晶岳に続く読売新道やその後方の裏銀座の峰峰、そして槍ヶ岳方面が一望できる。昨年苦い思いをした雲の平らは指呼の間だ。「大休止!」を宣言し、コッフェルを出してラーメンの昼食をとる。そして雪渓の上で涼をとる。1時間の至福のランチタイムはあっという間であった。
頂稜を南東稜方面に進み、ザレタ砂礫の道を薬師岳山荘に下る。そして岩屑の中をムスコを後に引き離して薬師平に下り、最後は涸れたゴーロ沢を慎重に下る。沢水が出始めると今日のテント場薬師峠は直ぐであった。
広いテント場は沢山のテントが張られ、大賑わいである。管理所で幕営手続きを済ませ、ビールを買い求め、この山行の最後の夜をムスコと二人楽しんだのである。


第4日目(薬師峠〜太郎平〜折立)


折立への下山の途中三角点から太郎平を振り返る

折立を10時半のバスに乗る為には遅くも6時には薬師峠のキャンプ場を立たなくてはと思う。5時には朝食をとり、テント撤収・パッキングを済ませると6時前にはキャンプ場所を後にすることが出来た。
キャンプ場の入口のトイレに寄って順番待ちしていると我がムスコと同じハンディを持った青年に会う。お父さんの用足しを待っていたのであるが、ハプニングがあり、ハラハラさせられる。おもわず声かけようとすると、お父さんが隣のブースから出てきて、にっこりと笑いながら「どうも済みませんでした」と青年の手を引いて出て行った。「私たちと同じ境遇で同じ目的を持ってこの高い高原に来ているのだな」と思うと、胸にこみ上げるものがあり、ウルウルしてくるのであった。「美しい自然に触れて感動を高めてください」と祈らずにはいられない気持ちになったは言うまでもない。
キャンプ場からは太郎平衛平のお花畑の中に伸びた木道を歩き、20分ばかりで太郎平小屋に着く。ここは雲の平や黒部五郎岳方面への分岐路だ。折角ここまできて折立に下るのは少しもったいない気もするが、1年ぶりの山行にムスコも少しお疲れ気味である。ここら辺りで山を下りるのが一番かもしれない。
昨年も下った勝手知ったる折立への道を黙々と下ったのである。

折立に下りついた後、30分ほどで定時のバスに乗り、有峰口には正午前に着く。40分ほど待って立山行きの電車に乗り車を回収し、糸魚川・白馬を経由して帰路についたのである。

 

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