高三郎山・口三方岳
高三郎山 タカサブロウヤマ 標 高 1445m 日本の山1000

山 域

両白山山地

登 山 記 録
登山月日 2012年6月23日
登山経路

犀川ダム4:50〜吊橋6:10〜倉谷廃墟跡6:30/6:45〜長尾根分岐7:00〜(ロスタイム20分)〜シャクナゲ尾根取付7:35〜倉谷山〜高三郎山12:05/12:25〜倉谷山〜尾根取付15:25〜吊橋16:10〜犀川ダム17:25

行動時間 登り 7時間15分 下り 5時間 合計 12時間35分 (休憩時間を含む)
天  候
メンバー 単独

情  報

アクセス 犀川ダムまで舗装道路
トレイル シャクナゲ尾根取り付きまでは犀川ダム湖畔遊歩道などで問題ないが、シャクナゲ尾根は登山道は有るが薮が被さる廃道状態の厳しい登りが続く(長尾根は少し整備されたらしい)
水場・トイレ シャクナゲ尾根までは沢水随所にあるがその先は無い 
トイレは犀川ダム湖休憩所ににあるが閉鎖中だった
その他 シャクナゲ尾根取り付きまで2時間 その先も厳しい高三郎山である

山行記


登山口の犀川ダムで車中泊し、夜明けを待って自転車に乗って湖畔道路に入る。湖畔道路はわずか300mほど行くと草の茂る道となって自転車進入は無理であった。朝露で濡れるのでスパッツを付けて少し荒れた道を行き2回ほど大きく谷を回りこむ。崩壊も激しくとても自転車などでは通れない。やがて湖畔道路が終わると倉谷川にかかる吊橋が見えてきた。
吊橋を渡ると倉谷川の左岸側に開けた登山道が続いていて、少し進むと倉谷集落跡に着いた。この上流の金山谷では江戸時代から明治時代まで金の採鉱が行われていて、その昔は400戸ほどの集落があったそうだが、犀川ダムの建設により廃墟となったという看板も立てられていた。付近には渓流釣りの常設のテントが張られていて、マニアが釣りを楽しんでいるようだ。

                                                                     そのテントの一つの前で朝食をとっていると、私の到着の後5分も立たない内に後続の高齢の釣り師3人がが到着して驚いた。私は必死に歩いてきたが息を切らすことも無い、通いなれた方々であった。どうやら今夜はテントに泊まって楽しむようだ。そのうちの1名が高三郎山を目指す私に、「長尾根の方が整備されているがシャクナゲ尾根は荒れているから気をつけて」アドバイスしてくれた。

 

テント前で15分ほど休憩の後倉谷川沿いを遡り、金山谷を徒渉すると道標の立つ長尾根登山口の分岐に着く。「長尾根経由4時間20分・シャクナゲ尾根経由160分」と高三郎山までの目安の時間がかかれていて、4時間20分と片や160分とは少し怪しい表示に首を捻るが短時間のシャクナゲ尾根を目指すことにする。
更に倉谷川沿いを進みコシアゲ谷を徒渉するとシャクナゲ尾根への取り付きであるが、取り付きには看板もなく見落としてしまい倉谷川の上流に足を延ばして20分ほどロスをしてしまった。


シャクナゲ尾根は一気の急坂が待っていた。そして薮が被さってきた。登山道がしっかりしていて道迷いの心配がなく、少し前に歩いた跡が鮮明にあり、間違いなく高三郎山を目指した者がいることが分かることが救いではあった。しかし登山道はさらに傾斜を増して、薮は益々酷くなる。この尾根のチェックポイントといえる倉谷山までの所要時間が来てもそれらしき場所には着かない。何度かガイドブックを広げて確認する。
ようやくガイドブックと自分の居場所が確認できる倉谷山直下のホンシャクナゲ群生のヤセオネに着くと殆んどコースタイムの2倍に近い時間を要していた。そしてヒノキ林の急坂を登りきると倉谷山であるが、標識も三角点も無い稜線の突起で山頂を特定できなかった。
此処から先が更に地獄である。薮はいよいよ酷くなり、両手で掻き分けながら登山道を確認してゆく。腹も空いて来るし、水も心細くなる。そして何よりも見通しが悪く目指す高三郎山が見えてこないのである。次のチェックポイントは長尾根との合流点であるが、中々現れないので少々心細くなる。そしてこの酷い状況の中で更に気落ちする事が発生してしまった。中々表れない目標地点に痺れを切らし、少し薮の開けた場所でバナナを食べて腹を満たすとザックに括りつけていたデジカメのケースからカメラが脱落しているのが分かった。もう5年も使用している愛着あるカメラを薮の中での紛失にガックリ来て高三郎山登頂への意気込みはグッと萎むのであった。

しかし「此処で諦めてはコレまでの苦労が何の意味も無い・・・帰りも考えれて、兎に角正午までは前進しようと」と気合を入れ直して前に進む。薮の間に間に左側に尖った山頂が見えてきて「アレが高三郎山か」と思うが、まだまだ遠い先で「長尾根からの道をあわせて一旦下り、登り返さなければ・・・まだ1時間以上はかかるな〜」と悲観的になるのであった。ようやくシャクナゲ尾根に右側からの尾根が合わさって傾斜が緩み、長尾根との合流点近しと思うと、薮の先に道標が立っていた。「さあ此処からは山頂まではそれほど遠くは無いぞ」と勇んで道標に近づくと、なんと傾いた道標には「高三郎山」と書かれているではないか。そしてそのすぐ脇には三等三角点も草叢に隠れていた。思わず「ここが高三郎山か」小躍りした事は間違いない。
しかし「途中で合流点も見落としたのだろうか」と此処も首をかしげるのであった。正午を少し過ぎた時間で犀川ダムを出て7時間もかかって登りついた山頂である。下山も考えるとゆっくりとはしていられない。カップヌードルにお湯を注ぎリンゴの皮を向いてお腹を満たす。水は底をつきテルモスの湯を口にする。脱水症状寸前で下山のことも考えながら小分けして喉を潤す事にする。山頂は薮の中で展望は無く、先ほど薮の中で見えた尖った山頂はどこの山なのだろうかとこれも首を傾げるのであった。

20分ほど滞頂のあと、下山にかかる。「一番日が長い時だから慌てる事は無い」とは思えど、やはり気は急くのである。10分もしないうちに長尾根分岐の道標が現れる。「こんな大きな道標がどうして見落としたのだろうか」と思うが、その先に少し進んでみたが、やはり薮の被さる道でとても進む気にはならなかった。「道迷いしなければ良い」とシャクナゲ尾根を下る。そして紛失したカメラを見つけることが出来ればと薮を掻き分けながら下る。山頂から20分ほども下った頃、カメラの事は少し頭から離れ始めた頃、なんと開けた登山道のど真ん中にデジカメが落ちていたのである。正に私を待っていたかのような場所であった。思わず頬ズリしてケースに収めた事は言うまでも無い。これで何の憂いもなくなった高三郎山ではあるが、脱水症状を危惧しながらもゆっくりと急坂の薮の中を下り、山頂から3時間かけて尾根取り付きのコシアゲ谷に下ったのである。

コシアゲ谷で沢水をがぶがぶ飲んで頭から水を浴びる。上半身裸になって汗を拭う。笹薮撃破でササダニにやられていないだろうかと体のアチコチ確認した。しかし此処からまだ2時間の道程があると思えば気を緩めるわけにはいかない。倉谷集落跡に来るとテントの前で釣り師が早くもビールを飲みながら寛いでいた。苦労話を一言話して更に下り、吊橋を渡って犀川ダム湖湖畔道路に出る。途中2回ほど腰を下ろして息を入れながらうんざりするほどの湖畔道路を歩いて17時半近くにダム駐車場に帰還した。
早朝5時前に出て13時間近い行動時間の高三郎山は私の登山歴に残る難山となった。

ダムの水道を借りて素裸になり汗を吹き、汚れた着衣を着替えてダムを後にした。

 


口三方岳 クチサンポウダケ 標 高 1269m 標高1003山 山 域 両白山山地
登 山 記 録
登山月日 2019年5月14日
登山経路 セイモアスキー場(千丈温泉)4:40〜林道登山口5:05〜岩屋敷6:35〜山頂8:05/8:25〜岩屋敷9:30〜登山口10:35〜千丈温泉11:00
行動時間 登り 3時間25分 下り 2時間35分 合計 6時間20分 (休憩時間・ロスタイム含む) 
天 候
メンバー 単独
情   報
アクセス セイモアスキー場・洗浄温泉まで快適舗装道路が続く
トレイル 岩屋敷までは急登が連続するがよく整備された快適トレイル
水場・トイレ 千丈温泉に公衆トイレある 水場は岩屋敷の少し上に沢水とれる
その他 白山前衛の山も白山は霞の中だった
山行記


口三方岳山頂


岩屋敷・イワウチワ

登山口のセイモアスキー場には前日に着いた。スキー場は既にリフトも外されていたが、休養施設「清流」のある千丈温泉でもある。清流で入浴して駐車場で車中泊した。
翌朝夜明けと同時に千丈温泉の対岸の林道に入り、30分ほどで登山口に着いた。登山道はいきなりの急登が続き滑落しないように慎重に登り尾根にとりつく事が出来た。尾根も急坂が続いていて朝から汗を絞られた。岩稜交じりに変わった尾根を登りきると「中間点・岩屋敷」の標識が樹林に掛けられていた。岩屋敷で一息入れ、少し傾斜の緩んだ登山道に春の草花を愛でながら、時々は残雪を踏み、泥濘を歩いて前衛峰に立った。前衛峰から残雪の中少し下って、登り返すと口三方岳山頂であった。
眼前には高三郎山と思われる山並みが見えたが山座同定は叶わなかった。白山も霞の中でカメラに収めるほどではなかったのが残念である。20分ほどの休憩の後登山堂脇に咲く花々をカメラに収めながら往路をゆっくりと下った。

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