石徹白の山
(野伏ヶ岳・願教寺山)

野伏ヶ岳 ノブセガタケ 標 高 1674m 日本三百名山

山 域

両白山地


山頂にて


和田牧場跡から野伏ヶ岳を望む


山頂にて


石徹白を囲む山々

山頂から見下ろす和田牧場と大日ヶ岳

山頂から続く薙刀山方面

ダイレクト尾根

和田牧場から見る野伏ヶ岳

薙刀山・願教寺山方面

白山に続く銚子ガ峰

石徹白川の対岸初河山・芦倉山

石徹白の早春
登 山 記 録
登山月日 2004年3月31日
登山経路 郡上市石徹白上在所7:00〜和田牧場跡8:45/9:10〜ダイレクト尾根10:05〜山頂11:10/12:10〜牧場跡13:45/14:00〜上在所14:50
行動時間 登り4時間10分 下り2時間40分 合計7時間50分(休憩時間含む)
天  候
メンバー 単独

情  報

アクセス 白鳥からは問題なし、福井県和泉村側からは冬季閉鎖中
トレイル 和田牧場跡までの林道がダイレクト尾根まで延びている。ダイレクト尾根を忠実に登れば山頂に着く。
水場・トイレ 水は沢水が取れるがトイレは登山口の中居神社にある。
その他 和田牧場跡からは天気に恵まれれば少しも問題はない。
山行記

岐阜県奥美濃、現在の郡上市の最奥に石徹白(イトシロ)と言うなにやらいわくの有りそうな地名の集落がある。ここの上在所にある白山中居神社が野伏ヶ岳への登山口になっている。
早朝6時に神社の横を通り、石徹白川に掛かる橋を渡ると、登山道が無い山なのに「ようこそ春山・野伏ヶ岳」の看板が掲げられていた。笈ヶ岳、猿ヶ馬場山等と並んで最近はツアー登山も組まれるほどの人気だと聞いている。
橋を渡るとすぐ先が林道入口になっていて、車が1台止まっていた。私も急いで支度を整え、スノーシューと12本爪のアイゼン、ピッケルをザックにくくりつけ林道に入る。
200mほど除雪された林道を進むと雪道になる。昨日の雨でたっぷり水を含んだ雪道は歩きにくいことこの上ない。よく見ると先行した登山者がいるようでしっかりと足跡が付いていて、奥深い登山道のない山に向かうには少し安心するのである。
杉の植林地の中の林道をジグザグを切りながら黙々と歩く。途中でショートカットしたのか先行者の足跡を見落とすが少しも心配することはない広い林道である。所用1時間半と見ていた和田牧場跡には1時間45分掛かって到着した。広い雪原の牧場には強風が吹き荒れていたが、目指す野伏ヶ岳は山頂に雲が掛かるも真っ白な姿を見せていた。登山コースとなるダイレクト尾根も特定できてまずは一安心だ。ここで朝食をとる。
ここから先はスノーシューを装着し、先行者の坪足のトレースを追う。暖気で緩んだ残雪歩きにはスノーシューの威力が発揮される。
尾根の取り付きに来て見上げると先行者の人影が見える。尾根までの樹林帯の急登は途中からスノーシューを外し、トレース泥棒を決め込む。尾根上につくと強風が吹き荒れていた。ガスも掛かりはじめ、ホワイトアウトを心配しながらトレースを追う。樹林帯も切れて山頂から延びる稜線に着くと左に大きく曲がって最後の喘ぎだ。
雪も舞いだした強風の山頂に飛び出すと先行の大阪からの男女3人パーティーが寒さに震えながら、記念写真のために私を待っていた。トレースの御礼を言いながらしばし談笑する。然し展望はないにもない。
そそくさと下山を始めるパーティを見送りながら、「今日はこれからの予定もないのでゆっくりしていこう」と思い。寒さをこらえて山頂スティを決めていると序々にではあるが展望が開けてきて、石徹白を囲む山々が少しずつ見えてきた。野伏ヶ岳に続く薙刀山・赤兎山・願行寺山、そして対面する銚子ヶ峰・丸山・芦倉山などが真っ白な姿を現してきて感激である。しかし目的の白山はなかなか姿を現さない。
1時間もの山頂スティを楽しんだ後、用心のためアイゼンを装着し、踵に力を入れながら快適にダイレクト尾根を下る。
和田牧場跡にくると、すっかり晴れ渡り真っ白な雪原に風も穏やかになり、なんの音もしない。まさに自然と一体になったような気分になり満足の時間が過ぎてゆく。林道に下る手前で野伏ヶ岳を振り返りながら休憩をとり、別れを惜しんだ。
ショートカットを繰り返しながら長い林道を登りの半分の時間で、久しぶりに難関を落として満足の山を楽しめた気分を味わいながら上在所まで下った。


願教寺山 ガンギョウジヤマ 標 高 1690m 日本の山1000

山 域

両白山山地
銚子ヶ峰 チョウシガミネ 標 高 1810m
登 山 記 録
登山月日 2012年4月17日〜19日
登山経路 第一日目
白山中居神社7:35〜石徹白登山口9:35/10:10〜大杉広場〜おたけり坂12:20〜神鳩避難小屋13:50
第二日目
避難小屋5:40〜母御石6:25〜銚子ヶ峰6:50〜分岐のピーク7:20〜p1616m8:15〜願教寺山9:05/9:45〜分岐12:05/12:30〜銚子ヶ峰〜神鳩避難小屋14:00
第三日目
避難小屋6:00〜石徹白登山口7:40/7:50〜白山中居神社9:40
行動時間 第一日目6時間15分 第二日目8時間20分 第三日目3時間40分 合計18時間15分
天  候 第一日目(晴) 第二日目(晴) 第三日目(晴)
メンバー 単独

情  報

アクセス 中居神社からの大杉林道は冬季閉鎖中も除雪完了し舗装道路を歩く 
白山南縦走路(美濃禅定道)も、分岐〜願教寺山までも99%は残雪を踏む
トレイル 夏道は出ていないが緩い勾配の歩きやすい 
分岐〜願教寺山までも緩いアップダウンが続き歩きやすい
水場・トイレ 石徹白登山口と神鳩避難小屋にトイレある
その他 願教寺山から石徹白の山々を回って白山中居神社に下りと充実山行楽しめる

山行記


石徹白の山々
(左から野伏ケ岳・薙刀山・日岸山・よも太郎山・願教寺山)


冬季閉鎖中の舗装道路の大杉林道を6キロ歩いて、白山石徹白登山口から大杉広場へ


神鳩避難小屋と母御石

<第一日目>

上在所の白山中居神社から先の大杉林道は除雪は終わってはいたが通行止めであった。小屋泊2泊の食料と炊事道具・寝袋などを担いで6キロ先の白山美濃禅定道の入り口石徹白登山口まで歩く。中間点で一息入れ朝食をとり、登山口には2時間ほど掛かった。ココまで2箇所のデブリが除雪された林道を塞いでいたが自転車で乗りつけた登山者もいた。東屋やトイレの完備し、グリーンシーズンになれば賑わうであろうと思う登山口でも一息入れる。

ここから始まる登山道は完全な雪道でアイゼンを着けて登る。15分ほど先の石徹白の大杉広場まではいきなりの急坂で汗を搾り取られ先が心配になるほどだった。石徹白大杉は幹周りだけを見れば屋久島の縄文杉を彷彿させられるほどであったが、樹肌が灰色に変色していて少々つや消しではあった。大杉広場からはトレースを拾う。20分ほどの急坂を凌げば尾根道に着き一息入れていると、今朝早く林道を自転車で乗り付けたという若者が既に銚子ヶ峰を踏んで下ってきた。これから先の情報を聞き安堵する。
緩い勾配の尾根道が続き、おたけり坂の急坂の難所を越えると展望も開け始め快適な雪上歩きを楽しめるが、久しぶりの重たいザックになかなか足が伸びない。30分に1本は立ながら夏道だと石徹白の登山口〜1時間半ほどの神鳩避難小屋には4時間近くかかって到着した。
ログハウスの小屋は中もきれいである。早い時間からビールとお酒を飲みながらゆっくりと寛いだ。


銚子ヶ峰と稜線分岐から見る白山別山方面


分岐付近から見る願教寺山などの石徹白の山々と願教寺山に続く大雪原


白山主峰群←       願教寺山山頂から        →銚子ヶ峰


白山南縦走路から最後の別山

<第二日目〜第三日目>

夜明け前の4時半には起きてうどんを作って腹ごしらえする。今日の行程は願教寺山を踏んで小屋に戻るだけであるから慌てる事もないが、5時には小屋の外に出て支度をする。緩んだ雪で足をとられることも想定し、ワカンとアイゼンもザックに括りつけて出発する。丁度東側の丸山からi陽が指し始める時間で、母御石の山肌がモルゲンロートに染まる時間であった。昨夜はたいした冷え込みではなかったが、それでも雪面は良く締まっていて快適な歩行が出来る。小屋からは少し傾斜のある道を登りきると眼前に白山別山方面の展望が開けてきて大感激で思わずシャッターをきる。この尾根辺りが森林限界であって樹木も疎らで広い雪原を別山を見ながら暫らく進み、母御石に差し掛かると急斜面の雪原になりアイゼンを装着する。結局ここから先は一日中アイゼンを付けっ放しのままではあった。大きな母御石を見ながら登りつくとその先に銚子ヶ峰である。ここも広い雪原を登りきって銚子ヶ峰に立った。一の峰・二の峰・三の峰の先に別山が更に近づいて朝日を浴びて輝いている。今日は崩れる事の心配ない好天なのである。銚子ヶ峰で一息入れて更に稜線を20分ほど進んでここから派生する願教寺山に延びる尾根に入る。別山方面の展望も素晴らしいがココから見る願教寺山〜野伏ヶ岳まで伸びる石徹白の山々も見事なもので優しい山容の山々がうねっていてうっとりとさせられる。スキー場のゲレンデには丁度良いかと思う雪原を下って尾根伝いに願教寺山を目指す。なんともいえない雪の自然庭園が広がりこのまま自然に溶け込んでしまいたい衝動にかかれるような景色が続く。小さなピークを二つ越えて、願教寺山が眼前に近づいてきた。願教寺山直前にはこのコース始めて薮が現れていたがわずかな距離で気にするほどのことも無かった。更に最後の登りは大きく発達した雪庇の脇を20mほど上り、東西に長細い願教寺山山頂に達する事が出来た。

北側には白山が別山から大きく羽を延ばして見える。主峰の御前が峰・大汝山も真っ白に輝いていて神々しいばかりだ。来し方の銚子ヶ峰もこちらから見ると荒々しい岩峰を見せている。石徹白の山々は近づきすぎて全容は見えないがその先に荒島岳や越前の山々が良く見えるが山座同定は叶わない。
山頂で大展望に酔いしれながら大休憩する。このまま石徹白の山々を回っても一日行程で上在所に下れそうにも思う。しかし今日は来た道を戻らなければならない。日が高くなって気温も上昇し雪も緩んできた中をゆっくりと帰路につく。急ぐ事も無いと思えども気がせいて雪原をとぼとぼと歩く。この大自然の中いま自分独り占めである幸せを感じつつ・・・。銚子ヶ峰の先の分岐には往路りも時間が掛かって丁度正午の到着となった。少し風邪が出始めた稜線上の潅木の陰で昼食休憩をとる。真昼の日差しを浴びて別山が更に輝くを増している。少し疲れを感じながら大雪原の銚子ヶ峰・母御石を越えて神鳩避難小屋には午後2時の帰還となった。朝5時から9時間の行動時間であり、今日の行動はこれで十分というところであった。

ビールを冷やし、ウィンナーソーセージを焼いてのどを潤し、更に残っていた御酒を燗をしてゆっくりと寛ぎながら2日目の小屋を過ごした。

 

3日目は朝食をとり、小屋の片付を澄ませて6時には小屋を出発した。今朝も雪が締まっていて快適に下る事が出来た。迷う事の無いトレースを追い続け、1時間半も掛からずに大杉広場に下山すると、単独行者が石徹白大杉をカメラに収めているところであった。少し距離があったので声をかけることも叶わなかった。更に急坂を下って石徹白の登山口には7時40分についた。一昨日4時間近く掛かった神鳩避難小屋だが、下りはその半分も掛からなかった。登山口でアイゼンをはずしパッキングの点検を澄ませて林道を鼻歌交じりに下る。林道を半分くらい下ると初老の単独行者が登ってきて情報交換する。「これから銚子ヶ峰まで登ってテン泊し、明日三の峰まで登って銚子ヶ峰に戻り、その足で願教寺山から石徹白の山々を野伏が岳まで縦走して上在所に下る」と言う羨ましい行程を歩くそうだ。もう私にはあまり無理は出来ないから他人の5割引くらいの行程で歩く事を肝に銘じているので羨ましいけど出来ぬ事ではある。石徹白の登山口からはこれも予定通り1時間50分かけて9時50分に上在所の白山中居神社の駐車場に到着した。


願教寺山から見る白山主峰群

 

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