南信濃村の山

(池口岳・白倉山・熊伏山)

日本二百名山 池口岳 イケグチダケ 標 高 2392m

山 域

南アルプス南部
登 山 記 録
登山月日 2002年6月19日
登山経路 池口林道登山口(6:25)〜面切平〜黒薙の頭(8:35)〜ザラ薙平(9:40)〜池口岳北峰(11:25)〜南峰(11:55/12:45)〜北峰(13:15)〜登山口(17:05)
行動時間 登り5時間30分 下り4時間20分 合計10時間40分(休憩時間含む)
天  候 快晴
メンバー 快晴

情  報

アクセス R152に池口登山口の案内がある 終点まで走ると遠山さんの家があり登山ポストがある 荒れた林道を15分ほどで登山口につく。
トレイル 思いのほか良く踏まれている
水場・トイレ 水は遠山さんの家で補給する トイレは無し
その他  
山行記

今年の梅雨も今のところ空梅雨模様である。この日の長い時期に南アルプスの日帰り登山が可能な池口岳を目指した。先月上河内岳に登って、見なれたR152を走った。ガイド本によれば、池口岳南峰までは7時間もかかると言うのだから、日帰り登山はこの時期しか無理の山と思われる。
池口林道入り口の登山届には、隣に住んでおられた池口岳の番人とも言われた「遠山要さん」は、昨年9月に逝去されたと書かれていた。
主の居ない遠山家の水道で水を頂いて、荒れたダートの林道を10分ほど進むと登山口である。平日にもかかわらず多摩ナンバーの車が1台止まっていた。案内板を見ると池口岳南峰までは7.5時間の所要時間とあり、長丁場に緊張する。何しろ昨夜は殆ど一睡もしないでここまできたのである。飲料水と食料と雨具だけで、出きるだけ軽荷にして登山口に入る。
最初のトレイルはなんとアカ松の自然林の中である。既に標高1500mは越えていると言うのに、そして2500m近い南アルプスの入り口としては珍しい樹林である。尾根を隔てた反対側は下枝も落とされ良く手入れがされているヒノキの造林地で好対照を見せている。面切平まではこの樹林の中を歩くのであるが、気付くことはこの林の中には野鳥のさえずりが聞こえないことである。アカ松やヒノキには野鳥の好む虫が少ない為であろうかと推測するが良くは分からない。やがてブナ、シラビソと樹相も変わって黒薙の頭に到着する。
2時間半の所を2時間ちょっとで来たことで少し安心する。ようやく右側に目指す池口岳と特徴ある鶏冠山が見えて来た、これからたどる池口岳に通じる尾根も見えて、その割りに遠くには感じないので、先も読めて安心だ。
更に黙々と尾根道のアップダウンを繰り返しながら崩壊地のザラ薙平へ、池口岳が眼前に大きく見える。テント場を越えて、ヤセ尾根と岩場を越えるとやがて最後の池口岳の急登となる。加賀森山への分岐を分けて二つほどの岩場を乗り越えると、緩やかな登山道となり山頂に到着した。
枯れた木の幹に無造作に手書きの山頂標識が掲げられてあるだけだ。
この山の主峰は南峰であろうかと、休む間もなく岩場を乗り越えて南峰に急ぐ。北峰から30分、登山口から5時間半かけてここも山頂標識が見当たらない池口岳南峰に登りつくことが出来た。7時間半のところを5時間半で歩いたのだから足が速くなったのだろうかと思うが、矢張りガイド本の標示が遅い為であろうと思う。
2400mの南アルプスの高山ではあるが、山頂まで樹林に囲まれていて展望は今一つである。光石を抱えた光岳から北には、丁度一月前に登った茶臼岳・上河内岳から聖岳に伸びる南アルプス主稜線が望まれるが随分と遠くに感じられる。兎岳や大沢岳の左には塩見岳やなだらかな山容の仙丈ケ岳も見ることが出きる。大無間山や南アルプスの深南部の山も堂々としていて、一睡もせずに登りついたご褒美には余りあると言うものだ。それでもこれからあの大無間山も登らなければと思うと、本当にそこまで体力が続くだろうかと弱気になるのであった。
50分の休憩の後、北峰に戻り帰りの時間も読めるので、写真をとりながら、ゆっくりゆっくり尾根道を楽しみ17時に登山口に帰りついた。11時間を越える長丁場の山中であったが、先行したと思われる多摩ナンバー氏とも会うことがない、たった一人の池口岳であった。


白倉山 シラクラヤマ 標 高 1851m 標高1003 山 域 南Alps南部
平森山 ヒラモリヤマ 標高 1813m 山 域
朝日山 アサヒヤマ 標高 1692m 山 域
水梨山 ミズナシヤマ 標高 1317m 山 域
登 山 記 録
登山月日 2017年11月2日
登山経路 兵越峠6:40〜水梨山7:10〜朝日山9:40(ロスタイム約30分)/10:25〜平森山11:50〜白倉山13:15/13:25〜平森山14:15〜朝日山15:35〜水梨山(18:30頃)〜兵越峠19:10
行動時間 登り 6時間25分 下り 5時間45分 合計 12時間30分 (休憩時間・ロスタイム含む) 
天 候
メンバー 単独
情   報
アクセス 県境の水越峠までR152の迂回路が通る
トレイル 林業用の作業道を赤布頼りに 朝日山まではしっかりした登山道 その先は倒木藪が被さる
水場・トイレ 水場は山中には無い toiletは兵越峠にある
その他 下山時に日が暮れてHeadlampとGPS頼りで下った
山行記


笹原の白倉山山頂


白倉山山頂から見る中ノ尾根山

水窪町と南信濃村の県境の兵越峠にはトイレ付きの駐車場があって、水窪町側で管理されているのが分かって、静岡県と長野県の財政状況を思い知った。長野県であればとてもそんな余裕はないのである。そしてこの先白倉山までの県境尾根も水窪町の管理であった。駐車場からわずか先に赤布が下がる入山口があったが白倉山・平森山・朝日山と連なる山への登山道であるにもかかわらず標識はこれから先もほとんど見ることはなかった。先週の台風の影響で落下したカラマツの小枝が被さる道を赤布を追って進むと、30分ほどで最初のピーク水梨山に着いた。これは快調に歩けそうだと思ったのはここまでであった。その先に進んでもうるさい藪の被さる道をひたすら歩き、ネットで調べてきた記録では水梨山から1時間で登り着いたという朝日山には2時間半もかかっていた。朝日山山頂には水窪町側の白倉林道からの登山道が合わさっていて、間違えてこの道を下ってしまい往復30分以上のロスタイムである。朝日山からはそれなりの道が続いているがいずれにしろ赤布が頼りであり、倒木またぎアップダウンを繰り返しながら平森山には1時間半ほどかかってすでに正午前であった。正午まで前進して白倉山に届かなかったら引き返すと決めてきたが、ここまで来て山頂踏めないのは癪である。下山はHeadlamp歩行を覚悟して前進した。平森山からも倒木帯を進みやがて膝丈の笹藪の中に薄い踏み跡と赤布を追うが迷いがちとなって何度か行き来する。笹藪の先に何年か前に登った中ノ尾根山を特定できる場所に来て、白倉山登頂を断念して引き返すことにした。笹原を少し引き返すと新しい赤布を見てスマホで位置確認すると白倉山までは近いことが分かり、「どうせ日が暮れた道を下るなら白倉山踏もう」と決意して再び笹藪の中に赤布を追った。30分ほど笹藪を前進するととても山頂とは思えない場所のシラビソの樹に大きく白倉山と書かれた看板がかかっていた。小躍りするほどの喜びであったが、ゆっくりとはしていられない。山頂標識と笹原の先の中ノ尾根山をカメラに収めて一目散に往路を戻った。
平森山には往路より30分ほど短縮できて戻ったが平森山から朝日山までは10分ほどしか短縮できない。朝日山の三角点も踏みたかったが、とにかく時間との闘いである。水梨山まで明るければと言う思いで下ったが、朝日山と水梨山の間にある2つ目の1435mピークを過ぎる辺りで完全に火が暮れてしまった。満月に近い月夜であるが林の中を明るくするほどではない。ヘッドランプの明かりを頼りに樹間の赤布を追う。赤布を見落として藪に突っ込むことも何度もあってその都度スマホのGPSで方向を確認した。
水梨山に戻って一安心、少し開けた樹間を慎重に下って兵越峠には19時過ぎに下山した。闇夜の中の雑木林の下山は1時間半ほどかかったが、遭難する心配はほとんどなかった。


平森山山頂


水梨山山頂・朝日山山頂


日本三百名山 熊伏山 クマブシヤマ 標 高 1653m

山 域

南アルプス南部
登 山 記 録
登山月日 2002年6月20日
登山経路 南信濃村登山口6:00〜青崩峠6:30〜崩壊地の頭7:10〜山頂7:55/8:10〜青崩峠〜登山口9:55
行動時間 登り 1時間55分 下り1時間45分 合計3時間55分(休憩時間含む)
天  候  曇
メンバー 単独

情  報

アクセス R152を走り青崩峠に回ると登山口がある
トレイル 青崩峠までは遊歩道その先は急坂が続く
水場・トイレ 無し
その他 山ヒルに注意
山行記

池口岳を登った後、南信濃村村営の「かぐらの湯」につかった。塩の匂いのする素晴らしい温泉である。
平日のせいで入湯者も少なく、ゆっくり出きるのが何よりである。食事中に熊伏山の情報をし入れると、なんと「この山は山ヒルがいるから気をつけろ」と言うことでがっくりする。
あかずの国道で有名なR152を走り青崩峠に回ると、ここは信州南端、中央構造線の大崩壊地である。山が落ち着くまで自然のままにしておけば良いものをと思うが、土地の人にしてみればそんなわけにも行かないのであろうか、コンクリートで崩壊防止の工事と植林を先祖代代進めているのである。
青崩峠まではきれいに整備された古道である。「信州と遠州を分ける秋葉街道青崩峠は、塩の道として古来往来が絶えなかった峠である」という看板が立てられていた。遠州・水窪町の深い谷が望まれて感激である。しかし峠の看板に異議ありである。真新しい御影石に青崩峠の看板があるが、これはどう考えても、ひなびたこの峠には不似合いである。どうもS県の案内看板は他の山頂標識にしても大仰過ぎると思う。そこで産出された樹木や石等で、それとなく看板を掲げると言うのが一番と思うのだが。
峠から熊伏山へは崩壊地の頭までは鎖場もある急登が続くが、それから先は緩やかな尾根道になり、1時間半で登りつくことができる。途中、兎岳や聖岳の好展望台も整備されている。
山頂には8時前に到着したがガスが忍び寄って展望は得られない。折角登りついた山なので私は何処の山頂でも一時間の滞頂を心がけているのであるが、天気の崩れが心配では先を急ぐしかない。写真をとって急いで下山を始めた。
途中ガレバの頭を過ぎるころに、後続の同年輩の登山者に会う。話をすれば、なんと昨日池口岳を登った多摩ナンバー氏で300名山を目指していると言うことであり、お互いに励まし合う。青崩峠につく頃にはポツリポツリと雨も落ちてきたが、ブナやミズナラの巨木の道では濡れることもなく登山口に帰り着くことが出来た。心配した山ヒルには会うこともなかった。 

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