黒部別山 クロベベッサン 標 高 2353m マイナー12名山 山 域 立山・黒部
登 山 記 録
登山月日 2017年9月8日〜9月10日
登山経路 9月8日
扇沢駅(10:00)〜トロリーバス〜黒部ダム駅(10:15/10:20)〜ダム下(10:45/11:00)〜内蔵助谷出合(11:55/12:20)〜内蔵助平(14:40)
9月9日
内蔵助平(5:15)〜ハシゴ谷乗越(6:50/7:10)〜2100m小ピーク(8:20頃)〜山頂稜線(10:20頃)〜黒部別山山頂(11:50/12:20)〜稜線下降点(13:30頃)〜ハシゴ谷乗越(15:50/15:55)〜内蔵助平(17:15)
9月10日
内蔵助平(7:15)〜内蔵助谷出合(9:25/9:35)〜ダム下(10:50)〜黒部ダム駅(11:25/11:35)〜トロリーバス〜扇沢駅(11:50)
行動時間 第一日目 4時間40分 第2日目 12時間 第3日目 4時間35分 
合計 21時間15分 (休憩時間・ロスタイム含む) 
天 候 第一日目 晴 第2日目 晴 第3日目晴
メンバー 単独
情   報
アクセス 扇沢駅まで観光道路 金曜日の午前10時には無料駐車場も満車状態であった
トレイル ハシゴ谷乗越までは下記の通り ハシゴ谷乗越から踏み跡薄く赤布も殆ど無い完全藪山
水場・トイレ 内蔵助平まで沢水随所 ハシゴ谷乗越までのゴーロ沢でも沢水取れる toiletはダム駅から先にない
その他 山頂稜線で心が折れそうだったが何とか踏ん張った
山行記

<第一日目>



(左)黒部第四ダム下・(右)内蔵助出合の黒部川


(左)内蔵助谷・(右)大タテガビンの岩峰


内蔵助平で幕営2泊


10日ほど前、黒部ダムからハシゴ谷乗越に歩いて乗越に幕営、翌日藪と格闘しながら2100m地点まで登ったが、帰りの時間を考えて敢無く敗退した黒部別山の再アタックである。3日間好天が続くことを確認し急遽決断した。今回は前回の轍を踏まないよう内蔵助平で山中2泊の幕営である。
一日目は黒部ダムから4時間ほどの内蔵助平に幕営なので扇沢駅10時発のトロリーバスに乗った。15分ほどで黒部ダム駅に着き、勝手知ったる旧日電歩道への遊歩道を下ってダム下の監視人に「気を付けて」と声かけられ黒部川にかかる仮橋を渡った。放流中のダムを見上げて写真を撮っていると関電の監視人が二人で歩道巡視に下ってきた。しばし情報交換の後、黒部川左岸につけられた歩道を緩く下って行く。丸山から流れ落ちる滝などを見ながら、1時間ほどで内蔵助谷出合に着き昼食休憩を取った。
内蔵助谷の登山道は相変わらずの悪路で重たいザックが肩に食い込む。30分おきに休憩を取りながら2時間少々で内蔵助平に登り着いた。内蔵助谷に架かる橋の手前にも幕営地があったが、真砂岳と真砂谷ヒュッテへの分岐にテントを張った。まだ早い時間であったが担ぎ上げたビールを沢水で冷やして、そして3合ほどの日本酒を飲んで寛いだ。月光に照らされた夜は月明かりでテント内はヘッディンが必要ないほどであった。今回は寝袋も持ってきたのでそれほどの寒さは感じず就寝出来た。


<第二日目>


(左)富士ノ折立 ハシゴ谷から (右)剱岳八ッ峰


笹藪地獄の尾根・山頂稜線の草地


山頂に近付く


目印の巨石が草地の山頂・白骨化した巨木も山頂標識


裏剱岳・立山方面


白馬岳〜鹿島槍ヶ岳の後立山

夜明け前の冷気で目を覚まし、5時前に餅入りラーメンを食べて、5時過ぎにはアタックザックに食料・飲料水など詰め、手には草刈り鎌持って内蔵助平を出発した。ゴーロの涸れ沢を1時間半ほど歩いてハシゴ谷乗越に着いた。乗越のすぐ先の展望地に登りあげると、剱岳や富士ノ折立・真砂岳方面の峰々が朝日を浴びて輝いていた。藪山に突っ込む前に雨合羽のズボンと上着を付けた。朝露で笹は濡れていた。10日前に歩いた藪山でまだ記憶は鮮明で、樹木の生える尾根伝いを順調に進むことができた。前回は道を失い熊笹と格闘しながら2時間近くかかった2100m小ピークには1時間少々で登り着き、ホッと一息入れることができた。その先は藪も薄いものと期待してきたのであるが、背丈を超える熊笹地獄が続いていた。
熊笹を掻き分けそして潜り、小尾根上にシラビソやダケカンバの樹木を目標に高度を上げて行く。赤布があるのかと期待していたのであるが、ケモノ道か水の流れた溝跡を追って前進するが赤布などもほとんど見ることがなく、時々現れると「人間の勘などそれほど変わるものではない」と思うのである。2100m小ピークから1時間半と思っていた山頂稜線には2時間以上かかって登り着いた。反対側に後立山連峰も望めるようになるが、景色を楽しむほどの余裕はなかった。稜線の下降点をしっかりと見定めて稜線を山頂に向かう。山頂稜線もまた笹藪地獄が続いていたが、樹木を追えば間違うことのない稜線が救いであった。しかしどんどん時間は過ぎて、心が折れかけたが、「とにかく正午までは前進しよう」と心に決めた。やがて二重山稜のような場所が現れ100mほどの草地が続いていて一息入れることができた。草地を過ぎると再び稜線に駆け上がりシラビソの樹木沿いを進む。稜線の右下に草地が見えたので、草地を歩こうと下ったが膝丈の草地は急傾斜で前進は不可能で、再び稜線に登りあげて山頂目指した。遠目に白骨化した枯れ木が見えるようになると山頂は近く、稜線から傾斜の緩い草地に下ると、草叢に最近歩いたものと思える踏み跡があった。膝丈の草地を10分ほど歩くと白骨化した枯れ木の下に着き、腰を下ろすには程よい転石があって黒部別山山頂を確信した。
樹間には立山方面や剱岳八ッ峰が見えるが、樹林に阻まれてスッキリとした展望が得られないのは残念である。3mほど草地を駆け上がると白馬岳〜鹿島槍ヶ岳〜針ノ木岳方面の展望が開けていた。内蔵助平からは6時間半、ハシゴ谷乗越からは4時間半以上もかかっていて正午前の山頂であった。帰りの時間も考えるとゆっくりとはしていられない。30分ほどの昼食休憩し山頂を後にした。
下りもまた藪漕ぎの連続である。山頂稜線からの下降点ではスマホに入れたGPSアプリのGeographicaでしっかり位置確認して小尾根を下った。小尾根でも何回か道を外しそうになったがその都度登りかえして慎重に2100m小ピークに下って胸をなでおろした。疲れもピークに達していて、「とにかく無事で藪山を下れれば良い」という思いでハシゴ谷乗越に下って安堵したのである。乗越で嗄れた喉を潤してゴーロの涸れ沢を疲労で惰性で歩いて日が暮れる前に幕営地の内蔵助平に着いた。疲労困憊ではあったが達成感が大きく、沢水で冷やしたビールと焼酎で感動を祝った。今日もまた月光輝く夜であった。


<第三日目>


朝日を浴びる真砂岳・黒部川対岸の岩峰


丸山東壁


(左)雄山・大汝山 黒部ダム駅から (右)丸山

3日目は黒部ダム駅まで戻るだけである。ゆっくりしようと思ったが明るくなれば寝てはいられない。6時前に朝食を摂ってテントを撤収、7時過ぎに2泊した内蔵助平を後にした。内蔵助谷の仮橋を渡って振り向くと真砂岳が朝日を浴びて輝いていた。3日間天候に恵まれたことが、小さな男でも大きな仕事ができたものととても嬉しかった。「急ぐ旅ではない」と思えば、何度も登山道に腰を下ろしながら内蔵助谷沿いをゆっくり下って行く。対岸の大タテガビンや丸山東壁の鋭い岩峰に目が奪われて退屈しない下山である。
内蔵助谷出合には2時間以上もかかって下り大休止の後、旧日電歩道を黒部dam下まで登りあげて行く。やはり昨日の疲労残りがあってなかなか足が進まないのであるが、ここも何度も岩場に腰を下ろしながら1時間以上もかけて黒部ダム下に着いた。黒部川の仮橋の手前では一昨日会った関電の監視人と再会し、無事の下山を労ってもらった。最後の気力を振り絞ってdam下からダム駅までの標高差180mを凌いだ。黒部ダム駅では休む間もなく10分後の11:35発のトロリーバスに乗ることができた。


黒部別山 クロベベッサン 標 高 2353m マイナー12名山 山 域 立山・黒部
登 山 記 録
登山月日 2017年8月27日〜28日
登山経路 8月27日
扇沢7:30〜トロリーバス〜黒部ダム駅7:45/8:05〜ダム下8:35/8:40〜内蔵助谷分岐9:35/9:45〜内蔵助平12:15/12:50〜ハシゴ谷乗越14:50
8月28日
ハシゴ谷乗越5:15〜黒部別山2100m地点7:20/7:35〜ハシゴ谷乗越9:10/9:40〜内蔵助平11:00/11:10〜内蔵助谷分岐13:05/13:10〜ダム下14:25/14:30〜黒部ダム駅15:20/16:05〜扇沢16:25
行動時間 第1日目 7時間20分 第2日目 9時間10分 合計 16時間30分 (休憩時間・ロスタイム含む) 
天 候 第1日目 晴  第2日目 晴
メンバー 単独
情   報
アクセス 扇沢駅まで 無料駐車場は満車 有料駐車場は24h2,000円
トレイル 日電歩道はよく整備されている 内蔵助平までは荒れている ハシゴ谷乗越まではゴーロの涸れ沢
水場・トイレ 内蔵助平までは沢水随所で取れる toiletは黒部ダム駅を出れば無い
その他 黒部別山はハシゴ谷乗越からは早くても往復6時間は必要と思う 山中2泊で再アタック予定
山行記

第一日目


黒部ダム駅出口から立山・観光放流のダム下


絶壁に切られた日電歩道


大タテガビン・内蔵助谷


内蔵助谷を渡って内蔵助平分岐


ゴーロの涸れ沢を歩いてハシゴ谷乗越へ


暮れゆく剱岳・真砂岳方面


8月最後の日曜日、扇沢の無料駐車場は満車で已む無く24時間2000円の有料駐車場に車を停めた。7時半発の始発のトロリーバスも満員で黒部アルペンルートの人気を知らされた。黒部ダム駅から日電歩道への出口に出ると今日ここを歩く登山者がパッキングの確認や靴紐の締め直しなどをしていた。今日は日電歩道から内蔵助谷を歩いて真砂沢に向かう登山者は私を含め5人である。出口にはtoiletもあるので安心して出発できる。
ダム下流に向かう遊歩道は一部崩壊しハシゴも設置されていたがジグザグ切って緩く高度を下げて行く。標高差180mを下ると黒部川にかかる仮橋を渡る。毎秒10トンの観光放流されて水量の多い黒部川を渡ってダムを見上げる。まさに巨大ダムである。日電歩道は黒部川の左岸側を下って行く、両岸は切り立った大岸壁が続き圧倒される。丸山東壁から流れ落ちる滝を見ながら1時間ほど進むと内蔵助谷出合で、「下の廊下」との分岐である。下の廊下、今年はまだこの時期通行止めになっていた。暫し休憩の後、内蔵助谷に入った。轟音を轟かせて流れ下る内蔵助谷を見ながら丸山東壁の下部を行く登山道は酷く荒れていて急坂も続き、丸山の上方を望むと被さるような岩壁が恐ろしいほどである。対岸の大タテガビンの特異な岩峰も目を見張るものがある。「落石があったらどうしようもないな」と思うと休憩場所もままならず足を速める。岩壁を高巻く一番の難所には鉄製ハシゴも設けられていたが、ここが内蔵助谷の中間地点という場所であった。その後はも高巻く場所が2カ所ほどあったが、小灌木の樹林帯を進み内蔵助谷出合から2時間ほどで平坦な道に出て内蔵助平であった。流れの緩くなった内蔵助谷の河岸には幕営個所も見られた。内蔵助平を15分ほど進むと谷に架かる橋を渡って真砂岳・真砂沢ロッジに分かれる分岐で、ここにも幕営適地があった。
分岐で昼食休憩を取った後真砂沢ロッジへの道を行く。しばらく樹林帯を歩くがやがて白い巨石累々のゴーロの涸れ沢に出てペンキマークを追う。あまり高度を上げないゴーロ沢に辟易しながら歩き続け、やがて土の道になると傾斜が増して30分ほど凌げばハシゴ谷乗越であった。峠にはちょうど一張張れる幕営スペースがあったのは幸いで、ここにテントを張ることにした。峠から分岐する展望地にも一人用テントなら張れるスペースもあった。
明日予定の黒部別山への道を確認したり暮れゆく剱岳を眺めながら時間をつぶし、簡単な夕食を摂ってシュラフカバーに潜り込んだ。

第二日目


鳴沢岳・針ノ木岳← ハシゴ谷乗越から見る →黒部別山


2100mピークで引き返す


2100mピークで見た剱岳


(左)池ノ平山〜仙人山 (右)真砂岳〜剣別山

ハシゴ谷乗越の一夜は悲惨であった。少しでも荷物を軽くしようと、冬用下着とタイツを穿けばシュラフカバーでも大丈夫と思い、シュラフを持って来なかったのであるが、やはり若者と同じわけにはゆかなかった。夜半の冷え込みで殆ど睡眠がとれず早く朝の来るのを待った。時々ガスに火をつけて湯を沸かし体を温めたが、結局これが2日目のモチベーションと行動の低下になってしまった。
「今日は5時前にハシゴ谷を出て6時間で別山往復、11時はハシゴ谷乗越を出なければ黒部ダム最終のトロリーバスに間に合わない」のである。夜明け前にテントの撤収を始め、5時過ぎにアタックザックで黒部別山目指して藪の小尾根に突っ込んだ。
当初は薄いながらもしっかりした踏み跡が続いていて2035mピークに達することができた。ここで踏み跡を見失い笹藪の中を下ってしまった。すぐに道が違うことに気付いたたが水平に張り出すネマガリダケに阻まれて目指す尾根にトラバースするのは無理であった。藪と格闘しながら2035mピークに登り返し、周囲を見渡してシラビソ林が続く尾根に踏み跡を追う。シラビソの木の大きな根を跨ぎアップダウンを重ねながら進み、やがて急坂の尾根に差し掛かる。こういう場所に来ると踏み跡は顕著であって、手に持った鎌を有効に使いながら高度を上げて行く。登りきった小ピークでスマホのGPSを見ると2100mピークであった。地図で確認すると未だ行程の3分に1にも達していない。すでに出発してから2時間近い時間が掛かっていて、この先まだ200m以上の高度を稼がなければ別山山頂には届かない。ここから山頂に続くとみられる尾根はよく見えて、ここまでよりは緩い道のようであるが、下山開始予定の11時にハシゴ谷乗越に戻って来るのは無理である。食料は予備食があるのでもう一晩泊まっても良いのだが、何しろシュラフの無い夜が怖いのである。
結局ここで黒部別山アタックは前進停止にした。樹間に見える剱岳・八ッ峰等を眺めながら朝食のパンとリンゴををかじった。昨版の寝不足で、体全体に力が入らず息も上がり気味であり、朝食も取らずに入山したことも反省材料であった。前進停止場所からの写真を撮った後は往路を戻ったが、下りでも何度か道を失い登りと変わらぬ時間を要して9時過ぎにハシゴ谷乗越に戻った。パッキングをしていると単独行の男性が「黒部別山の下見に来た」と云って展望地まで登って来た。私の経験を話すと暫く尾根の踏み跡を偵察した後黒部ダム方面に下って行った。
昨日に比べ軽くなったザックを担いで昨日来た道を引き返す。2時間かかった内蔵助平には1時間半で下り、2時間20分かかった内蔵助谷出合には2時間で下った、今日はここを登ってくる登山者は1組2名の男女だけであった。黒部ダム下までの日電歩道は登りかえしになって疲労した体にはきついものがあった。途中でアミノバイタルでスタミナ補給してダム下流で黒部川を渡った。ダム下の見張り小屋の監視人が心配するほどの歩行速度であって監視人が見かねて飲み水を出してくれた。さらに厳しかったのは黒部ダム駅までの標高差180mの登りである。30m高度を上げるたびに休憩し、ダム下から50分も掛けてダム駅に登り着いた。入口で汗を拭い身だしなみとパッキングを整えて駅構内に入り30分ほど待って平日にもかかわらず満員の観光客を乗せたトロリーバスに乗って扇沢駅に着いた。扇沢の有料駐車場で3000円の料金を払って帰宅の途についた。

黒部別山、近々再アタック予定である。


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