硫黄岳 イオウダケ 標 高 2760m 日本標高77位

山 域

八ヶ岳
登 山 記 録
登山月日 2005年1月07日
登山経路 茅野市桜平7:35〜夏沢鉱泉8:05/8:35〜オーレン小屋9:40/9:50〜夏沢峠10:20/11:00〜硫黄岳12;25/12:40〜夏沢峠13:20/13:50〜オーレン小屋14:00〜桜平14:50
行動時間 登り4時間50分 下り2時間10分 合計(休憩時間を含む)
天  候
メンバー 単独

情  報

アクセス 桜平までは雪道であるが4駆であれば何とか入れる
トレイル まだ積雪量が少なく快適な雪道歩きであった
水場・トイレ 各小屋にあるが冬季閉鎖されている
その他 硫黄岳への最短コース 夏沢鉱泉・本沢鉱泉の秘湯めぐりも良い

 
桜平の駐車場から小屋専用道路を歩き夏沢鉱泉に着く


オーレン小屋〜夏沢峠を過ぎて硫黄岳を登りつめる

(デジタルカメラ寒さのため機能不良になり、写真はこの3枚しか撮れませんでした)

山行記

今年の初登りは、以前から雪山入門の山として知られている八ヶ岳に残る未踏の硫黄岳ときめていた。天気予報を見ると絶好の展望が期待できそうなので、6日に硫黄岳山荘の経営者に電話を入れて、短縮コースの桜平からの情報を入手する。
4駆のミニバンであれば登山口の桜平まで進入できること、赤岩の頭コースは吹き溜まりがあり、ラッセルが厳しいから避けること、夏沢峠コースならばトレースが残っているであろうと言う情報をえることが出来た。
7日の朝4時に家を出て、白樺湖廻りで茅野市の三井の森を目指す。白樺湖付近は新雪で滑りやすい道路であったが慎重に通過する。茅野市に入ってコンビニで食料を調達する。
桜平への進入口が分からずに時間をとられるが、唐沢鉱泉への道を進むと、右側に桜平に入る案内板があった。昨夜は少し雪が降ったのか轍は消えていたが終点の桜平まで問題なく入れることが出来た。
今朝は異常に温かな朝で少しも寒さを感じない。冬支度まで必要なさそうであるが、今はやはり厳冬期である。12本爪のアイゼン、アウタージャケット(上下)をザックに入れ、ピッケルを持って登山道(夏沢鉱泉までは小屋専用の車道)に入る。
上空は明るい朝日が輝いているが登山道には届かない。本当に今日は展望に恵まれた八ヶ岳になるのだろうかと心配になる。5センチほど積もった新雪の上を気持ちよく歩く。トレースもよく分かり心配ない。
30分で夏沢鉱泉に到着した。改築されたばかりなのだろうか、きれいさにはびっくりする。ここで朝食をとる。
更に積雪量を増したトレイルをオーレン小屋を目指す。重い冬用登山靴を履いているせいか、昨日マラソントレーニングで15キロ走った疲労のためか随分と足が遅い。夏沢鉱泉からは夏のコースタイム50分の所を1時間10分も掛かってしまった。
オーレン小屋とは黄蓮のことで、そのネーミングの感性に感激する。この小屋も新築の木の香が匂う素晴らしさである。冬季小屋を覗いてみると、これも素晴らしい。この冬再訪して泊まってみたいものだ。
小休止のあと、昨日のアドバイスの通り夏沢峠への道に入る。赤岩の頭コースの入口には「冬季の通行を禁止する・昨年も単独行者2名の死亡事故あり」という立て札が立っていた。
積雪量は更に深くなり、トレースは完全に消えていた。然し樹間を切り開いたトレイルは間違えることはない。
黒百合ヒュッテから天狗岳・根石岳を歩いてきたパーティがテントを張る中、夏沢峠に到着した。
木々を揺する風はいよいよ強くなり、うなり音を響かせている。パーティの一人は天狗岳を下りる時の風のすごさを聞かせてくれる。老いた単独行の私を見て、これから硫黄岳を目指すことを心配しているようだ。私も心細くなるのであるがこの程度では止めるわけにはいかない。
夏沢ヒュッテの前で、アイゼンを付け、眼だし帽を被り、アウタージャケットを着て冬用の支度にする。
「頑張れば1時間半も有れば山頂に着く」そう自分にいい聞かせながら、そして気合いを入れて硫黄岳への道を進む。
10分もすると樹林帯は切れて猛烈な西風が吹き付けている。ゴーグルの先が見えなくなり、外す。ジグザグを切った登山道はしっかり外さないようにする。何回か吹き飛ばされそうになるが、岩にしがみついてこらえる。樹林帯には50センチはあったであろう雪は、岩陰に張り付いているだけで露岩になっている。そしてその岩には風上に向って「エビのしっぽ」を延ばしている。
中腹まで登ったと思う頃には、強風とガスのために登山道を見失う。上方に目を凝らすと、大きなケルンが見える。ケルンを目指して高度を上げる。ケルンに着くたびに風をよけて息を整える。やがて左側にロープが張りめぐされているところまで登りつく。ここが爆裂火口跡かと思うが、中を覗くほど余裕はない。吹き飛ばされないよう火口縁から距離を置きながら次のケルンを目指す。
5個目くらいのケルンを越えると傾斜がなくなり、山頂標識と思える石碑が見えてきて思わず声が出る。
「やったー・山頂だ」
吹きさらしで雪が飛ばされた山頂に着くとケルンの陰でザックを下ろす。
デジカメで3枚も写真を撮るとカメラが機能しなくなった。寒さの所為だろうか。
そしておにぎりを二つ頬張る。ポカリで喉に流し込む。ゆっくり出来るはずがないのである。
再度支度を整えている間に防寒手袋が風に飛ばされて爆裂火口に消えてゆく。幸い代わりの物があって命拾いである。下降を開始する。
吹く風は下から吹き上げるので、風の強さは登るときより下りは更に激しく感じる。顔を背けながら眼を手で防護しながら下る。それでも下りは楽なもので登り1時間20分掛かった夏沢峠には50分で下ることが出来た。
アウタージャケットも目だし帽も雪が張り付いている。アイゼンを外し、再び軽装になる。
テントのパーティに挨拶してオーレン小屋への道を下る。
絶好の天候を期待してきたのであるが小雪が舞い出していた。更に強風のためか朝のトレースも薄くなっていた。雪道を走るようにオーレン小屋・夏沢鉱泉を下ると、夏沢峠からは1時間で登山口の桜平に着くことが出来た。
北陸の猿が番場山・野伏ヶ岳、尾瀬の景鶴山など残雪の山はいくつか登っているので戸惑うことはなかったが、初めての本格的な冬山強風の洗礼を受けて、良い教訓を残したのである。

2009年3月 硫黄岳〜横岳〜赤岳


硫黄岳 イオウダケ 標 高 2760m 花の百名山

山 域

八ヶ岳
登 山 記 録
登山月日 2010年7月2日
登山経路 本沢温泉登山口7:40〜林道ゲート8:15〜本沢温泉9:30〜夏沢峠10:25〜硫黄岳11:25〜硫黄岳山荘11:40/12:40〜硫黄岳13:00〜夏沢峠13:30〜本沢温泉野天風呂14:10/14:35〜本沢温泉14:45〜本沢温泉登山口16:15
行動時間  合計 8時間35分 (休憩時間を含む)
天  候 曇・霧
メンバー 単独

情  報

アクセス 本沢温泉登山口まで舗装道路
トレイル 本沢温泉までは車道を歩く そのあとも良く整備された人気のトレイル
水場・トイレ 各小屋に有る
その他 佐久側からは静かなコース

山行記


本沢温泉旅館と夏沢峠のヒュッテ夏沢


火口縁のケルンに導かれて硫黄岳山頂へ


硫黄岳山荘とお目当てのチョウノスケソウ


日本最高所温泉本沢温泉雲上の湯

3年前の同じ時期に来た本沢温泉登山口に車をつける。悪路の林道を敬遠し林道入口から歩き始める。本沢温泉まで1時間40分、本沢温泉〜夏沢峠までは1時間である。夏沢峠からは樹林帯を抜けてハイマツ帯の火口縁をケルンに導かれて1時間で硫黄岳山頂に立った。硫黄岳山頂は3度目であるが今までは何れも冬場で、特徴あるケルンは見覚えあるが新鮮な山頂であった。霧の山頂を15分下ると硫黄岳山荘である。山荘脇がお花畑になっていて花名標識も立てられていた。お目当てのチョウノスケソウが見えないので小屋番に聞くと開花場所を親切に教えてくれた。

チョウノスケソウばかりか、イワウメ・ウルップソウ・ミヤマダイコンソウ・タカネシオガマなどが可憐に花開いていた。

昼食休憩をとっていると霧の彼方から賑やかな団体さんの声が聞こえてきたのでお花畑を後にして下山した。

本沢温泉にある日本最高所野天風呂雲上の湯に浸かって汗と疲れを落とした。



硫黄岳 イオウダケ 標 高 2760m 日本の山1000 山 域 八ヶ岳
峰の松目 ミネノマツメ 標 高 2568m 山岳標高1003山 山 域 八ヶ岳
登 山 記 録
登山月日  2014年6月24日
登山経路  桜平8:00〜オーレン小屋9:10/9:20〜峰の松目のコル〜峰の松目10:00〜赤岩の頭10:50〜硫黄岳11:15〜硫黄岳山荘11:35/12:45〜硫黄岳13:10〜夏沢峠13:50〜夏沢鉱泉14:40/14:55〜桜平15:15
行動時間  硫黄岳山荘まで 登り 3時間35分 下り 2時間30分 合計 7時間15分 (休憩時間・ロスタイム含む) 
天 候  曇/雷雨
メンバー  上田市の水沼さんと
情   報
アクセス 「三井の森」奥から桜平まで未舗装の林道もよく整備されている
トレイル 峰の松目までの道も結構踏まれている その他は人気の縦走トレイルも急坂有り岩礫もある
水場・トイレ 夏沢鉱泉・オーレン小屋・硫黄岳山荘・山彦山荘など各小屋にある
その他 お花畑はまだ少し早かったがチョウノスケソウ・キバナシャクナゲが見ごろであった
山行記

夏沢鉱泉・オーレン小屋


峰の松目のコル・峰の松目山頂


峰の松目三角点・硫黄岳山頂


硫黄岳山荘・夏沢峠山彦荘


今年春、九州山行で知り合いになった上田市の水沼さんを硫黄岳に案内した。
桜平からの道は夏には初めてであり新鮮な気分で夏沢鉱泉・オーレン小屋と歩いた。オーレン小屋で一息入れた後、峰の松目へのコースに入る。シラビソの樹林帯を歩いて峰の松目のコルに着き、ザックをデポして峰の松目に向かう。最後は急坂となり木の根などにつかまりながら、シャクナゲ林の峰の松目の山頂に立った。峰の松目とは珍しい山名でありその謂れを知りたいものだ。峰の松目は国土地理院の「日本山岳標高1003山」に数えられている
コルに戻って赤岩の頭を目指す。途中からハイマツ帯に変わって展望が開けてきた。赤岳鉱泉からの道が合わさると赤岩の頭である。硫黄岳山頂や横岳・赤岳は雲の中であった。赤岩の頭からはザレた道に変わり、最後は岩稜を越えて硫黄岳山頂である。平日にもかかわらず数組の登山者が佇んでいた。山頂をカメラに収めた後は硫黄岳山荘に下る。少々怪しい天気でお花畑観賞を優先し、お花畑に回るがまだそれほどの花が開いていなかった。それでもイワウメやイワカガミなどが目を楽しませてくれる。稜線に出てチョウノスケソウを探すと目論見通り見ごろを迎えていて、ウルップソウも数本見ることが出来たがコマクサなどはまだ早すぎたようで残念ではあった。
硫黄岳山荘に戻りベンチに腰を下ろして昼食をとった。山友の吉井さんが数年前まで小屋明け参加したという硫黄岳山荘であるが、体調回復を果たして再びここを訪れる日があることを願うばかりである、昼食休憩の後硫黄岳に登りかえすと単独行の女性が一人山頂にいた。大きなケルンの立つ岩屑の道を爆裂火口を見ながら夏沢峠に下ると子供を背負った夫婦(二人とも3〜4歳の子供を背負っていた)が登ってきて驚きである。夏沢峠に下りきると雷鳴なって小雨がぱらつくが、オーレン小屋を下るころまでは何とか持ってくれた。オーレン小屋で最後の休憩を取って樹林帯を急ぐ。夏沢鉱泉に着く寸前に再び雷鳴なって雹が降ってきた。慌てて夏沢鉱泉の東屋に逃げ込んだが15分くらいの雨宿りで雨が上がった。山頂方面は激しい雷雨が降っているのが分かり、子供を背負った夫婦登山隊のことが案じられた。小止みになるのを待って桜平の駐車場に下った。



横岳・赤岳・阿弥陀岳&硫黄岳爆裂火口

硫黄岳お花畑



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