奥穂高岳 オクホダカダケ 標 高 3190m 日本百名山

山 域

北アルプス
登 山 記 録
登山月日 2007年9月7日〜9月8日
登山経路 9月7日
上高地BT7:20〜横尾10:02/10:30〜涸沢ヒュッテ13:25
9月8日
涸沢ヒュッテ5:40〜(ザイテングラード)〜穂高岳山荘8:00/8:20〜奥穂高岳9:00/9:10〜紀美子平10:40/10:50〜岳沢ヒュッテ12:40/13:35〜河童橋15:30/15:45〜上高地BT15:50
行動時間 登り 6時間05分 下り 10時間10分 合計 16時間15分(休憩時間を含む)
天  候 第一日目 雨
第二日目 霧/晴
メンバー ほろしり氏と二人

情  報

アクセス 人気の上高地へ
トレイル 人気随一の百名山も厳しい岩稜の登山道
水場・トイレ 各山小屋で(岳沢ヒュッテも仮営業中)
その他 どこから登っても厳しい登山道

第一日目


降りしきる雨の中雨傘差し6時間かけて上高地〜涸沢ヒュッテに入る

沢渡の駐車場でバス待ちをしていると「バス料金でOK」というタクシーに乗って上高地に入る。
前夜から接近している台風9号の影響が出始め上高地のバスターミナルは強風がうなりを上げていた。今日は私たちが一番乗りのようである。登山センターで朝食をとり支度をしていると雨にもかかわらず後続が詰め掛けてきて少し安心する。結局登山センターで1時間ほど様子見をして、上高地が初めてのほろしり氏にとっては気の毒なことになったが雨着を着け、雨傘差して出発する。河童橋周辺は木々が音を立てて揺れている。折れた枝が風に飛ばされていて、強風による倒木も心配しなければならないほどだ。
明神、徳沢と休憩取りながら進む。営業中の小屋は利用者以外は中に入れてくれないので庇を借りて一休みするしかない。横尾には上高地から2時間40分で到着した。ここの山小屋も利用者以外は雨宿りも出来なかった。雨は一向に止む気配はない。20分ほど休憩し、梓川に掛かる吊橋を渡って涸沢への登山道に入る。朝、涸沢ヒュッテを出た登山者が続々と下りてきた。本谷橋を渡り本格的な登山道にかかっても雨足は衰えないが雨傘で凌いだせいか、着衣の濡れも少なく靴の中も濡らすことはなかった。ヒュッテ手前の沢は雨水を集めて恐ろしいほどの激流になっていた。横尾からは3時間かけて13時半に涸沢ヒュッテに到着した。時間的には穂高岳山荘まで十分余裕があったが台風の余波で風の収まらないので本日はここで宿泊することにする。

着替えを済ませ、自炊場でほろしり氏と二人昼食をとりながら休憩する。
結局夕飯までここで過ごし持ってきた5合の酒は私一人の胃袋に納まった。夕方には雨も上がり明日の好天が約束された。久しぶりの山小屋泊まりであったが、6人部屋に3人でゆっくりと休めたのである。そして乾燥室で濡れたものを全て乾かすことが出来て、山小屋の有り難さを知ったのである。

 

第二日目


雨の上がった翌朝涸沢ヒュッテを出る  涸沢槍から上はガス深きザイテングラードを登る


奥穂高岳山頂は霧の中


厳しい岩稜帯の岳沢を下る


霧雨の中ライチョウが慰めてくれる


岳沢ヒュッテで一息入れる 河童橋で穂高岳を振り返る

夜間二回ほどトイレに起きたときは星の瞬きも見えて、台風一過の絶好の天気を疑うことなく起きた。部屋から窓の外を見ると霧雨が舞っていてビックリする。それでも朝霧だろうと思い気を取り直す。4時過ぎに自炊場に出かけ朝食をとり、パッキングを済ませ5時半の出発となった。霧は徐々に上がり、小屋の周りの展望が開けてきた。雨着の上着だけはつけ、テント場を過ぎまだ残る雪渓を渡りザイテングラードへの登山道に入る。小屋を見下ろしながらカールの中の道を高度を上げて行く。涸沢槍の直下に来ると道は大きく左に曲がる。カールの霧は上がったが稜線はまだ晴れない。山頂に着くころには晴れて欲しいものとだ。涸沢ヒュッテを真下に見る展望台で一息入れて岩稜に取り付く。ところどころに鎖場もあるザイテングラードを慎重に登る。特に危険を感じることはないが垂直に近い岩場はやはり緊張する。
高度を上げて霧の中に入るとやがて穂高岳山荘のテラスに到着した。涸沢ヒュッテを出て2時間20分、8時ジャストの到着であった。昨夜は殆ど宿泊客がいなかったようで小屋の休憩室は従業員が掃除の最中であった。休憩をお願いして中に入るとありがたいことにストーブを点けてくれた。20分ほど休憩を取り、小屋を出る。
最初の梯子場を慎重に登る。稜線に出ると雨混じりの強風が吹き荒れていて緊張する。ペンキマークを失わないように進むと霧の中から単独の女性が現れて、お互いビックリする。「深夜2時に西穂高山荘を出て西穂山稜を越えてきた」というのには更にビックリしたものである。「世の中には恐ろしいことを平気でやってのける猛女もいるもんだ」と今度は感心するのであった。
天気がよければ素晴らしい展望が開ける奥穂高岳は霧深き山頂であった。折角北海道から出掛けてきたほろしり氏には本当に残念な山頂であった。霧の中に雨も混じり始めると長居は出来ない。写真を撮るだけの時間で奥穂高岳山頂を後にして岳沢への道・重太郎新道を下る。9年前にムスコと二人で下ったことのある道ではあるが、ムスコが何回か悲鳴を上げたことが頭にあり、霧雨のこの道をほろしり氏を案内するのには少し気を揉んでいたのである。
滑りやすくなった岩稜をゆっくりゆっくり慎重に下る。長い鎖場は更に慎重になる。霧雨でズボンが濡れてきて途中で動きが悪くなったので岩場の影で風を凌ぎながら濡れたズボンを履き替えて雨着を着る。そして又、慎重に下る。霧の中にライチョウが姿を見せてくれると前穂高岳への分岐紀美子平であった。今朝上高地から重太郎新道を登ってきた単独行者が休んでいた。霧雨は上がったがまだまだ展望は開けない。前穂高岳への登頂も諦めて、再び岳沢を下る。鎖場や垂直の岩場を下り続ける。この頃になると続々と登山者が登ってきた。テントを担いだ若者が多く「よくもマーこの急坂を」と感心するのである。
霧が晴れて眼下の上高地の全容が開けたパノラマ展望台で一息入れて岳沢ヒュッテまで一気に下る。目標のヒュッテが見えてはいても中々たどり着かない。紀美子平から2時間かけてようやく岳沢ヒュッテに到着した。雪崩で倒壊したヒュッテも残った建物を修復して細々と営業再開していた。早く建て直して欲しいものである。ヒュッテのテラスで昼食を取りながらゆっくり休憩する。
天気も回復して暑い日ざしが照りつける中、岳沢沿いを下り、上高地の遊歩道に下る。観光客で賑わう河童橋には15時半に下りついた。
稜線の霧は晴れないが歩いてきた重太郎新道を見上げながら一日の振り返ったのである。

 

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